1952-06-14 第13回国会 参議院 法務委員会 第56号
それを合図に数十名の警官がそこに乱入してそこにいた人を、坐つていた人を除いてそこに居た人をひつくくつて行つた、ひつくくつて行つて拷問を加えた、こういうのです。それを私は社会タイムズにはつて見まして……、前のほうは人権民報、あとのは社会タイムズですが、この拷問は実にひどいと感じたのです。而もこの拷問は全く治安維持法時代の拷問と同じような拷問になつておる、我々が受けた同じ拷問を始めておる。
それを合図に数十名の警官がそこに乱入してそこにいた人を、坐つていた人を除いてそこに居た人をひつくくつて行つた、ひつくくつて行つて拷問を加えた、こういうのです。それを私は社会タイムズにはつて見まして……、前のほうは人権民報、あとのは社会タイムズですが、この拷問は実にひどいと感じたのです。而もこの拷問は全く治安維持法時代の拷問と同じような拷問になつておる、我々が受けた同じ拷問を始めておる。
御承知のごとく憲法によつて拷問や何かをしてはいかぬということが明らかに規定されております。刑事訴訟法においても、自白を強制させないために黙秘権というものを認めております。そうした見地から、こうしたことが事実行われたとすれば、これは人権擁護上許されないことだと思うのでございます。
この拷問というのはぶつたり、なぐつたり、けつたり、水をぶつかけたり、これはよく戰争中に共産主義者に対してやつたことでありますが、今はそういうような形における拷問があるということを、私は指摘しておるのではありませんが、しかしながら拷問というものに限られたことでなくて、人権の思想の発達の度合いに従つて、拷問の考え方というものはどういうものかということはかわつて来るはずである。
というのは、御承知のように、捜査の過程において、拷問がなされた場合におきましては、これは御案内のように憲法によつて拷問は絶対に禁止されているのでありますが、捜査過程におきまして、いささかでも拷問があつた場合においては、その捜査そのものは無効であります。従つて、その拘束も無効であります。従つて、この三百三十八條によりまして公訴棄却の判決をせねばならぬ。
その中間を歩いておる制度、これは甚だ立法の上から見るとずるい書き方であらうと思う、現行法の制度は工合が悪いからと言つて拷問、尋問制度に移るかと言えば、そうでもない。我が國獨特の制度というふうなところを狙つたのでありましようが、その中間を歩いておる。つまり公訴を提起するには起訴状が一本あればよろしい、あとは公判廷の證人だのその他の證據の維持によつて有罪無罪を決するというようなことになつております。